食育

ともべ幼稚園では無理に食べさせることはしません。無理に食べさせると、嫌な記憶が残り、次の「食べてみたい!」気持ちにつながらなくなるからです。

なかなかたくさん食べてくれなかったり、好き嫌いばかりだと、焦ってしまうかもしれませんが、遠回りに見えても、楽しい経験の中で「次は食べてみようかな…」の気持ちを引き出していきます。

日頃からの食育指導

☆楽しい雰囲気で

日ごろから給食やお弁当など食事の時間は楽しい雰囲気で過ごします。おともだちや先生と会話を楽しみつつ、年齢に合わせて、食べ方の指導や目標時間の設定など、無理なく行っていきます。

また、先生自身がおいしそうに食べることで嫌いな食べ物にも挑戦しようという気持ちになります。

年長さんには、給食の献立を知らせる際に「どんな栄養があり」「どんな効果があるのか」などを、わかりやすく伝えています。

☆紙芝居や絵本・掲示物などから自然に

行事食についてや、好き嫌いをテーマにしたお話、食べるときのマナーなど、子どもたちの身近な紙芝居や絵本などの読み聞かせを通し、伝えていきます。

また、階段の踊り場などに、お箸の持ち方を図解したものを掲示しておいたりすることで、子どもたちが生活の中で、自然に目にしたり耳にする機会を作っています。

☆野菜の栽培を通して

年少ではミニトマト。年中ではきゅうりをプランターで栽培します。自由遊びの時間に、じょうろで水やりをしたり、子どもたちも愛着を持って育てていきます。

花の色や葉の形にも注意を向けながら、収穫を楽しみにしています。ミニトマトはそのまま、きゅうりは塩もみにしていただきます。

トマトやきゅうりが苦手な子どももいますが、自分の育てたものだと食べることができ、好き嫌いを克服するきっかけにもなっています。

連続性のある食育

☆掘ってきたサツマイモで、焼いもパーティー

10月頃に行う「いもほり」で掘ってきたさつまいもを使って、園庭で焚火をし、さつまいもを焼きます。

子どもたちは焼き立て出来たてのさつまいもをいただくことで、収穫の喜びに続いて、食べることへの感謝、目の前で作ってくれる人への感謝の気持ちを持ちます。

いつも「おかわり~!」の声で園庭がにぎわいます。

☆育てたじゃがいもでカレーパーティー

年中の終わりころに園庭にある畑に、子どもたちと一緒に種芋の植え付けを行います。植えるときのコツや、注意点をお話ししたり、寒い時にはわらを敷いて、保温する様子を目にすることで、食べられるようになるまでには様々な過程があり、手をかけなければできないことを知ります。

春休みが明け、年長に進級ししばらくすると、葉が青々と茂ってきていることに気づきます。葉っぱや花の、色や形にも興味を持ち、時々観察するようになります。

いよいよ、収穫時期が来たら、自分たちが植えたじゃがいもを実際に収穫します。たくさん採れる年があったり、小さい年があったり、その年によって違うのも、ひとつの経験として積み重ねていきます。

収穫出来たら、そのじゃがいもを使ってカレーを作ります。包丁とまな板も、先生と一緒に挑戦。人参かじゃがいも、どちらか好きなほうを選んで自分たちで切っていきます。実際に調理に携わり、包丁などの調理器具にも触れ、いっそう自分たちが作った、という自覚が芽生え、野菜が苦手なお友達や普段、好き嫌いの多いお友達も、この日だけはたくさん食べてしまいます。

この少しだけでも「食べられた」体験が、「次は食べてみようかな…」つながります。

さんまパーティー

秋の味覚の代表ともいえる「さんま」が、給食に登場します!

生のさんまを実際に見て、触れて、においを嗅いで、実際に食べて味わいます。特に年長さんは、「さんまパーティー」として、骨付きのものをいただきます。

その年にどこで捕れたさんまなのか「産地」について、また、どんな風に食べ進めると上手に骨を取って美味しくいただけるのかを、給食の先生に教えてもらいながら、子どもたちも、自分でお箸で食べていきます。毎年、多くのおともだちが見事に骨を取り除き、「見て見て!とれたー」とよろこぶ姿が見られます。

味覚を育てる

料理に欠かせないものに「出汁」があります。ともべ幼稚園では「出汁」をテーマに、各学年に跨った教育を実践しています。

出汁を通じて、味覚を育てていきます。味覚は元来人間が持っている自己防衛手段です。生きていくのに大切な感覚を育てていきます。

☆年少「スープパーティ」

まだまだ野菜が苦手な子どもも多い年齢ですが、ご家庭でも比較的よく使われ、身近で親しみやすい野菜(キャベツ・ブロッコリー・しめじ・もやし)を使って行います。

まずは観察。次に触れてみて、興味を持ったところで、ちぎったり半分にしたりと、小さな子どもでも安全に簡単にできる調理を施し、「料理をする体験」をします。

見て、触って、料理が出来上がるまでの過程を知り、それぞれの食材の形や味が変化することに気づくことで、食への興味を深めます。

☆年中「だし味比べ」

年少での体験をもとに、「旨味」の元である「出汁」の存在を知ります。

また、ひとことに「出汁」といっても様々なものがあり、それぞれに味の違いもあります。さまざまな「出汁」の中から、比較的よく使われやすく、子どもの舌にもなじみやすい、「かつお」「にぼし」「こんぶ」3種類の味を比較しながら違いを体験します。

☆年長「みそ汁パーティー」

年中で「旨味」と「出汁」の存在を知る体験をしてから約1年後に行います。

まずは、「出汁」だけの味見をします。出汁本来の味をよく覚えておいて、次は「味噌」を入れみそ汁をつくります。「旨味」の広がりを感じ、その「旨味」がどの「出汁」から出ているものかの違いを感じ取ります。ただ感じるだけではなく、クイズ形式で行うので、「当たった」「はずれた」と、子どもたちも大盛り上がりです。

食事の質によっては、舌の感度が悪くなるともいわれています。私たち大人も気を付けていきたいですね。

ともべ幼稚園の日々の取り組みについてご紹介します。